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第3分科会

「子どもの魅力の再発見」~子どもの育ちを保育に生かす~
講師
・東京大学大学院 准教授 野澤祥子 氏
・日本保育協会 青年部部長 志賀口大輔

 前半は「OECD学びの羅針盤2030の考えかた」「指針・要領」「発達研究の知見」を手がかりに、これからの保育・教育についてのご講演をいただいた。
 新たな社会に向けて、子どもたちは想像もつかない未来を生き抜く力が必要となる。これまでの何を知っているか、何ができるかといったような個別の知識・技能を身に着けるだけではなく、知っていること・できることをどう使うかといった、思考力・判断力・表現力などが重要になるため、主体性・多様性・共同性が育つ中で、学びに向かう力や人間性が育ち、どのように社会や世界と関わり、よりよい人生を送るか、子どもたち自らよりよい社会と幸福な人生の作り手となっていけるようにすることが必要である。 欧米で重要視されるAgencyというものがある。当事者意識を持ち、自己効力感をもつ主体性、意味・意義を見出せる・価値づけができ、その目的に対して責任を持って行動する主体性といった意味である。0歳からひとりの人格として捉え、これまでの「育てようとコントロールする」から「子どもに育ちを委ねる」となり、「子どもの声(子どもの思い・願い)」を実践・政策へ結びつけていくのも必要である。
 後半は志賀口青年部長を交え、保育室の定点動画を資料にして、経験豊かな遊びをテーマ中心に進められた。
 0歳児の保育室の定点カメラでは子ども自身が目的を持って遊ぶ様子が見られた。保育者が距離をとって見守っていると0歳児であっても大人を見て、確認や評価を求めたりする様子もあった。その子どもの眼差しを通して子どもの内情を想像することができた。
 1歳児では領域ごとに、それぞれの気持ちを保証するために互いの遊びを鑑賞しすぎないように配慮があった。ひとり遊びの要素に、目的と物との関係が見え、試行錯誤しながらイメージを膨らませたごっこ遊びが見られた。客体的自覚がまだ薄いが、数名の子どもで共鳴したような遊びを行う様子も見られた。
 2歳児は、遊びがより具体的になり協同的になった。自分の使ったものを自ら戻す等、規則的な動きも身についているようだった。
 全体的には園児の家庭での様子を保護者からと共有し、園生活に落とし込み、それぞれの発達の幅を考えながら、規則正しいリズムを考えていた。
 その後、質疑応答があり盛会の内に終了した。

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